昔から、衣食住といわれ、「住」は 生活の基本の柱となります。
それは賃貸住宅であろうと、変わりはありません。
しかし『賃貸住宅のトラブル』の相談件数は、年々 増加傾向にあります。
このような状況の中、国土交通省は、賃貸人・賃借人があらかじめ理解しておくべき一般的なルールを示した「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」の 再改訂版を 平成23年8月に公表するなど、トラブル防止に努めています。
退去時の敷金返還などのトラブル事例は、インターネット上に掲載がたくさんありました。
しかし、賃貸住宅契約の入り口である『初期費用』に関する まとまったサイトは、見当たらなかったため、不要な初期費用を断るために知っておくべき事柄、うまく断るためのトークフローなど が まとまっているサイトがあれば役立つのではないか、と思い、このブログをはじめました。
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あくまで、賃貸住宅契約の入り口の、初期費用にスポットを当てていきます。
新しく賃貸住宅契約する際に悩んだ人が、これを一参考資料としていただければ幸いです。
最近はどこの不動産屋も、経営が苦しいので、諸々の雑費を計上して、仲介手数料以外の小銭稼ぎをしています。
まず、不動産屋のカウンターには、『鍵』 『室内消毒(害虫駆除)』 『引っ越し』 『保険』 などなど、様々なパンフレットがあります。
どうやら それらの全てにキックバックが発生していると考えて間違いなさそうです。
別に これらのサービスが悪いという訳ではありません。
そのサービスを必要としている人にとっては、わざわざ業者を探す手間が省けるので、むしろ便利です。
しかしそれを初期費用という項目に盛り込み『従来の慣習』という理由で、あたかも入居者が払わなければ入居できないように勘違いさせ、押し売りしているのが問題だと思っています。
仮に、その不動産屋のホームページで『任意オプション』と掲載があり、いざ契約の際に断ろうとすると「みなさんに支払いをお願いしています」「お願いします」と執拗に繰り返し、結局 支払わない限り、契約できない雰囲気を作ります。
任意オプションと謳っている手前、『強制』してしまうと虚偽広告で法律にひっかかるので、あくまで『お願い』した結果、入居者の意志で支払った、という形をとろうとするんですね。
でも、支払わない限り入居できないんじゃ、『強制』と変わらないですよね!
よく、インターネットのQ&Aサイトなどで『初期費用の○○は支払わないといけないの?断れますか?』といった質問を見かけます。
まず、契約とは
・あなたと相手が合意して初めて交わされるべきもの。
・基本的人権を侵すとか、社会的に許されない範疇でなければ、
お互いが合意すれば、何ら問題はない。
という「契約の自由」の原則(※このブログではこう呼んでいきます)があります。
つまり
基本的人権を侵すとか、社会的に許されない範疇でなくて、
↓
不動産屋からその説明をきちんと受けて、
↓
あなたが契約書にハンコを押せば、
↓
契約は成立!『支払う約束をしました』ということなんです。
これが大前提となりますので、よく覚えておいて下さい!
契約内容が記載された契約書に署名・捺印すると、その内容を理解できていなかったとしても、記載内容を全部承諾したものと推定されます。
「断れますか?」ではなくて、自分にとって不要であれば、不動産屋と交渉して、「断る」んです!
トラブルの原因は、契約書をよく読まない、疑問があっても聞かない、そんな入居者側にも非があります。
【賃貸借契約書 をよく読み、きちんと理解・納得した上で、署名捺印を行うこと】
・賃貸住宅なんて たいした契約じゃないから・・・。
・不動産屋(大家さん)は感じが良いので、後々トラブルになるなんて
想像できない・・・。
・細かい字だから読むの面倒くさいし、読んでも意味が分からない・・・。
・契約書をなくしちゃった・・・。
↑これらは論外です!
この賃貸借契約書だけが法律的に自分を守ってくれる唯一の証拠になるのですから!
しかし、「契約の自由」の原則(基本的人権を侵すとか、社会的に許されない範疇でなければ、お互いが合意すれば何ら問題はない)を 逆手に取り、賃貸借契約書を作成している不動産屋もいます。
・契約内容を、不動産屋側で有利に作成する。
・『これだけ書いてるのだから、不動産屋(大家さん)に文句言っても受付ない』
と不動産屋(大家さん)側が身を守る為だけの賃貸借契約書になっている。
・募集広告に『○費○円が必須』と明記されておらず、追加条件を後出しする。
・契約内容が抽象的。
・特約条項が一般条項に入れられており認識しにくい。
・契約内容の十分な説明が無いまま、署名・捺印をさせられてしまう。
『賃貸借契約書に書かれていて、署名・捺印したのだから、お互い合意した契約だろ!』という理屈に持っていくわけです。
このような不動産屋の賃貸借契約書では、入居中や退去時でも、トラブルになるのは目に見えてますね・・・。
じゃあ、賃貸借契約書をよく読んで、納得いかないものを削除させればいいのでは!?
その通りです!
確かにその通りなのですが、現実はそうはいきません。
なぜでしょうか?
あなたが賃貸物件の契約を交わすということは、その部屋を一番気に入ったからで、「他の人に取られたくない」という意識が働いています。
だから、多少 不明瞭なことが書かれていても、ハンコを押してしまうのです。
「入居前からうるさいこと言って、不動産屋や大家さんに、悪印象を与えたくない」
「費用を負けろと言うと、収入や経済状態を悪い方に想像されてしまい、貸してもらえないのではないか?」という入居者の心理もあります。
契約前だと大家さんが契約をお断りできてしまうので、その立場の強い契約時を狙って不動産屋は不透明な条項をごり押ししてくるんですね。
そういう不動産屋で契約してしまうと、契約前はニコニコして『お客様は神様です』と言っていたのに、契約した途端に 『釣った魚に餌をやらない』状態になり、入居中や退去時に高確率でトラブルになりますので、気を付けて下さい。
このような不動産屋から物件を借りない事が何よりですが、どうしてもここに住みたい、という方の為に、 大家さんに入居を断られず、かつ初期費用を抑えるのは
どのラインなのか、私なりの考えをまとめたのがこのブログです。
このブログでは、以下のような優先順位付けで考えていきたいと思います。
優先すべき目的は『入居すること』
↓
契約の時点で、断れるものはハッキリ断る。
↓
断りきれなかったものは、入居後又は退去時に返金を申し出る。
(あまりオススメできない手段ですが最悪の場合)
住まいはすべての人にとって基本的な権利です。
たしかに、このご時世、家賃を踏み倒したりする悪質な入居者も多いようです。
そんな問題の多い入居者に対しては、それ相応の請求をおこなうのは、不動産屋・大家さんの権利として当然です。
しかし、善良な入居者から、不当に金銭をかすめとろうとするのは、到底許せるものではありません。
安心できる住まいへの権利が一部の悪徳不動産屋によって侵されるのであれば、
みんなで、しっかりと抗議の声を上げていきましょう。
その積み重ねが、明朗な料金システムに繋がっていくものと信じています。
抗議の声を上げるといっても「訴えるぞ!」と脅しても、不動産屋は訴訟とか全然怖くないです。
顧問弁護士が付いてますし、慣れてますし・・・。
それよりも、納得できない不鮮明なところは、都道府県庁の住宅局にある賃貸住宅に関するトラブル・苦情受付窓口に相談しましょう。
不動産屋は、都道府県知事・国土交通省からの免許を受けて営業しているため、行為が悪質と判断された場合、業者名の公表や営業停止措置などの罰則を受けることになります。
国土交通省(賃貸住宅に係る相談・情報提供窓口)
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/madoguchi.htm
また国民生活センター(03−3446−0999)や各地の消費生活センターでも相談は受け付けてくれます。